2024年3月に警察庁が発表した「いじめによる小学生の検挙・補導人数」が2023年が過去最高でした。
警察庁少年課令和5年報告
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/syonen/pdf_r5_syonenhikoujyokyo.pdf
過去最高になった背景としては、いじめ事件が多発しているのと、2023年2月にいじめは警察と連携するとこども家庭庁が方針を変えたことにあります。
小学生のいじめについては、いじめ認知件数/1000人当たりも2022年が過去最高になってます。(2023年分は文部科学省の発表が2024年秋の予定)
2011年に「5.0/1000人当たり」だったいじめ認知件数が、2022年は10倍の「53.3/1000人当たり」に急増しました。
文部科学省 問題行動調査
https://www.mext.go.jp/content/20231004-mxt_jidou01-100002753_1.pdf
【2022年までは、いじめ認知件数の0.1%が警察に通報(小学生)】
いじめ件数 | 通報数 | 通報率 | |
2015年 | 150,038 | 215 | 0.14% |
2016年 | 233,668 | 184 | 0.08% |
2017年 | 311,322 | 322 | 0.10% |
2018年 | 421,116 | 458 | 0.11% |
2019年 | 479,447 | 383 | 0.08% |
2020年 | 416,861 | 369 | 0.09% |
2021年 | 496,094 | 476 | 0.10% |
2022年 | 545,958 | 839 | 0.15% |
公立の小学校の統計を見ると、いじめ件数の内警察に通報した件数は約0.1%でした。
2023年の統計はまだ文部科学省が発表してないので、警察への連携が増加して通報率が上昇したかは不明です。
【小学生のいじめによる事件の罪種別検挙・補導125人の内訳(2023年)】
暴行 | 76 |
傷害 | 16 |
強要 | 12 |
器物損壊 | 6 |
不同意わいせつ |
5 |
侮辱 | 4 |
脅迫 | 3 |
窃盗 | 1 |
逮捕監禁 | 1 |
児童ポルノ | 1 |
暴行罪と傷害罪は、相手に怪我がなければ暴行罪、怪我をさせた場合は傷害罪になります。
【いじめ認知件数の近年の増加は学校の早期発見の手柄ではなかった】
いじめ認知件数(生徒数当たり)は、2011年から2022年で10倍になってます。
文科省の担当者は「学校は初期段階の対応を強化するため、以前なら見過ごされていたいじめを積極的に把握するようになった」と分析すると言ってますが、2023年の警察の検挙人数が過去最多になったのを考慮すると初期段階のいじめではないと思います。
もし、いじめの早期発見により認知件数が増加したのなら、小学生の警察の検挙人数が2011年から2023年で6倍になることはありません。
2022年までは、文部科学省がいじめ認知件数の増加は学校のアンケート等で早期に発見しやすくなった為としてましたが、事態が悪化したために2023年2月に警察と密に連携するようこども家庭庁に権限が移行して要請が出たのでしょう。
【小学生のいじめ発見のきっかけ 本人や保護者等の割合】
小学生のいじめの発見で一番多いのは「学校でのアンケート調査」が55%です。
その次に多いのが、本人・保護者による訴えで約30%になります。
文部科学省は、いじめ認知件数の増加の理由が学校アンケートによる早期発見と発言されてますが、2013年からいじめの発見は「本人・保護者」が増加しているので、いじめの重大さを文科省は問題を把握できてないのではと思ってしまいます。
【中学生のいじめ検挙・補導人員】
中学生のいじめによる警察の検挙・補導人員は2023年は2022年の2.2倍になっています。
【今までは警察扱いになるいじめも見過ごされていた】
「警察扱いのいじめ」というのは小学生は法律の「罰」をまだ理解してなく加害してしまっている可能性があるのが難しさにも思えます。